恋の宝石ずっと輝かせて2

「ニシナ様をお救いするのは私の使命。ニシナ様はあの女に連れ去られたに決まってる。あの大きな黒い猫の幻影を持つあの女に。あいつは今どこにいるの?」

 獲物を狙うように鋭い目をし、四本の足をバネのようにはずませて、しなやかな体をもつ狐が駆け抜けていく。

 学校の裏手の林まで降りてくると、鼻をくんくんとさせユキの匂いを追う。

 狐の姿では人間の世界に出られないと人の姿に代わるが、自分の服が巫女装束だということに気が付き、慌ててその辺の葉っぱをかき集めた。

 それを上に放り投げて呪文を唱えると、あっと言う間に高校の制服へと早代わりした。

「これなら、怪しまれることはないでしょ」

 我ながらキイトは自分の変装に満足する。

 誰も自分を怪しむものはいない。

 背筋を伸ばし、長い艶のある黒髪を風になびかせる。

 微かに残るユキの匂いを頼りに探し始めた。




 駅前の賑やかな繁華街は、この辺りでは栄えてるが都会と比べればまだまだ洗練されてない。

 田舎の一番人通りの多い街並みは、昔ながらの商店街や近代の建物がごちゃ混ぜになっている。

 人が集まるだけに、そこには名の知れた飲食チェーン店も集まり、ユキと仁も最近できたカフェで冷たい飲み物を飲んでいた。

 そこは高校生がたむろするにはもってこいとばかりに、制服を着た生徒達が明日から始まる夏休みで楽しげに語らっていた。

 ユキと仁は窓際の隅で周りとは対照的に陰りのある表情を見せていた。

< 22 / 253 >

この作品をシェア

pagetop