恋の宝石ずっと輝かせて2
 暫くそのままでいると、急激に眠気が襲い、うとうととして意識が遠のいていく。

 また目が覚めると、先ほど寝ていたときとなんだか向きが違うように思えた。

「あれ、私あっちに頭を向けてたと思ったんだけど、こっち向きに寝てたっけ」

 なんだかわからないまま、自分でも頭がぼけていると感じていた。

 この日の出来事が衝撃過ぎてまた心に穴が開いた気分だった。

 仁に言った言葉が失礼なものだと充分わかっていたが、あの時トイラを思う気持ちが強く表面に現れて抑える事ができなかった。

 そうなったのも、瞳に『本気で人を好きになったことないんでしょ』と言われた事に腹が立ったからだった。

「あるわよ。命を賭けてでも本気で好きになった人がいるわよ」

 誰も居ない部屋で大きな声で叫んだ。

 どうしてもまた涙が溢れてしまう。

 そしてこの思いは決して消えぬまま、さらに膨れ上がりいつも以上にトイラを恋しく思う。

「一体どうしちゃったんだろう。やっぱりあの葉っぱのせいなのかな。あれに触れたとき、トイラの姿を見たのがいけなかった。あんなにはっきりとまるでそこにいるかのようなリアルな光景だったから」

 ふと胸がざわめき、ユキは無意識に玄関へと向かって靴もはかないまま外の様子を窺った。

「あれ、なんで私、外を見てるの?」

 不思議だと首をかしげながらも、引き返そうとするが、三和土(たたき)で靴を履き、そのまま外に出かけてしまった。

「私、今何しようとしたんだっけ? あれ?」

 何かをしなければいけないのに、度忘れをして立ち往生して困惑するも、なぜか歩いた方がいいような気がして、そのまま外へ出向いた。

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