恋の宝石ずっと輝かせて2
「仁、どうしてここに?」

 ユキは落ち着きを取り戻したが、仁が居る事が納得できないでいる。

「何、言ってんだ、ユキが電話してきたんだろ。ここに来いって」

「えっ、私が電話した? いつ?」

 ユキには全く身に覚えがなかった。

「とにかく、家に帰ろう。少し涼しいところで休んだ方がいい」

「ちょ、ちょっと待ってよ」

 口を挟んだのはキイトだった。

「あのさ、こっちこそ説明して欲しいんだけど、一体この子何者なの? 大きな黒い猫って言っただけで興奮するし、それにあんたもこの子の仲間なの? さっきからトイラが見えるんじゃないのかとか、訳の分からないこといいまくるけど、こっちだってニシナ様を探してるんだ。そのトイラっていう奴が誘拐したんじゃないのか?」

「一体何を仰ってるのかさっぱりわからないんですけど、あの、あなたは一体……」

 仁が問いかけると、ゴロゴロと空が音を立てだし、黒い雲が流れ込んでいた。

 夕立が来そうなほどに辺りが暗くなってくる。

「一雨来そうだ。ユキ濡れないうちに家に帰ろう。それじゃ大変失礼しました」

 その場を去ろうと、半ば、強制的に仁はユキを引っ張って走っていってしまった。

 鳥居の外で倒れていた自転車を立て直し、慌てるようにユキの家へと向かった。

 キイトは雷と夕立に邪魔をされ、後をつけることを断念した。

「仕方がない今度会ったとき、とっちめてやるから」

 キイトも雨を凌ぐ場所を求めて去っていった。
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