恋の宝石ずっと輝かせて2
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「なあ、トイラ、本当の気持ちを教えてくれ。人間になりたいとは思わないのか?」

「ああ、もちろんそうなったら嬉しいさ。でも、本来俺は消える運命にあったものだ。そんなことしたらこの世のルールを変えてしまいそうで怖いんだ」

 トイラの気が急に弱くなった。

「消える運命って……そんな。あの時太陽の玉が割れて、ジークが吸い込まれそうになったけど、トイラがもしあれに吸い込まれていたらどうなってたんだ? あれはブラックホールみたいなものなのか?」

「吸い込まれた事がないからどう考えてもわからない」

「森の守り主になるために全てを犠牲にして、森を守るためだけの主となる。そのためには過去の記憶はいらない。だから太陽の玉はトイラの人の部分を吸い上げようとした。でもさ、そうしたら、歴代の森の守り主も同じ事をしてきたってことだろ」

 仁は可能性として筋道立ててみた。

「まあ、そういうことになるな」

「あんな小さな玉の中に、それを蓄えておけるものなんだろうか。それともあの中は四次元空間にでもなっていて宇宙のような広さがあるんだろうか?」

「一体何がいいたいんだ?」

 ユキの顔でトイラは不思議に思う目を向けた。

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