恋の宝石ずっと輝かせて2
「カジビは意識を鏡に閉じ込めて、それを割ることで取り込んだものを抹消するらしいんだ。鏡は一回につき一個しか意識を閉じ込められない。だけど、太陽の玉は歴代の分を吸い込み、その玉は壊れることなく受け継がれる。それって、あの太陽の玉の中には永遠に意識が存在していることにならないか?」

「はぁ?」

 仁の意味する事がトイラにはわからない。

「だから、トイラの意識は消える運命じゃないってことなんじゃないかな」

「太陽の玉の中で溶けて消滅してるかもしれないじゃないか。または太陽の玉の栄養分になってるのかもしれない」

「なんでそこだけそうネガティブなんだよ。僕がいいたいのは、トイラは消える運命じゃなかったってことなんだ。人間になっても世界は変わらないし、トイラはユキと結ばれる運命だったってことさ」

 仁はトイラとユキの関係を強調する。

「おい、お前自分でも何を言ってるのかわかってるのか? 一応言っとくけど、俺はお前の恋敵だぞ」

「もういいんだ。僕はユキが幸せになってくれさえしたらそれでいい。この状況から解放させてあげられるのなら、なんだって喜んでするよ」

 仁は薄く笑う。

「仁、なんか投げやりになってないか?」

「僕は僕なりに一生懸命考えたんだ。そんな風に言うなよ」

 仁はテーブルの上に頭を持たせかけた。ゴツンとテーブルの表面が響く。トイラはそれを黙ってみていた。

 仁の迷いを感じ、そこに含まれた意味をトイラは思案する。

「トイラはユキと一緒になる運命なんだ。僕は二人が幸せになるのならどんなことでもするよ。どんなことでも」

 仁の優しさとヤケクソさが一緒になった声だった。

 トイラには答えようがなかった。

 静けさが暫く続き、仁が顔を上げたとき、目の前に動揺しているユキの顔があった。

 それがトイラとしてなのか、ユキとしてなのか、仁は判断しかねた。
 

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