ロスト・ラブ
俺が触れてどうする。
自分の中のわずかな理性が働いてくれて、そのまま空に浮いたままの手を握り締めた。
こいつがこうなったのは、俺のせいなのに。
こいつは、俺のせいで今でも苦しんでるのに。
あの日のことを後悔しない日はない。
それなのに、俺が一方的に"想ってる"だなんて、自分勝手にもほどがある。
「ごめん、茜」
俺はとことんズルい奴だから。
だから、俺には俺なりの方法でしかお前を守ってやれないんだ。
「……そ、うた」
「っ、」
ぼんやりと、眠っていたはずの茜の目が開いた。
熱のせいなのか、それともまだ半分夢の中なのか、とろんとした瞳が俺の姿を捉える。
「……茜」
その真っすぐなまなざしに吸い込まれそうで、思わず名前がこぼれた。