ロスト・ラブ
あかね、茜。
いつでも素直に呼べるわけではない幼馴染の名前。
その名前を口にしただけなのに、何故かベッドの中の茜は嬉しそうにほほ笑んだ。
久しぶりに向けられたそのやわらかい表情に、心臓がドクンと音を立てる。
……思いっきり抱きしめられたら、なんて。
そんなことを考える俺は、本当に呆れるくらい最低な奴だ。
触れたら、簡単に壊れてしまうだろう。
茜というよりは、……俺が。
たぶん、誰よりも茜に怖がられることを恐れている。情けない。本当に。
「……ごめんね、颯太。迷惑、かけて」
困ったように弱弱しく笑う茜は、言葉にも力がない。
いつも俺の前では虚勢を張っている茜だが、今回ばかりはやっぱり調子は良くないらしい。