ロスト・ラブ


「茜ちゃんとお出かけたくさんできるの嬉しいっ!」


満面の笑みでそう言ってくれる胡桃が可愛くて仕方ない。


せっかくの夏休みだ。少しくらい夏らしいこともしてみたいな。


胡桃とそんな会話をしていると、教室の真ん中からクラスの女子たちの楽しそうな声が聞こえた。


「ねーねー柳くん。夏祭り一緒に行かない?」

「あ、ずるい~!あたしも混ぜてー!」


その中心にいるのは、颯太の姿。

自分のことばっかりで忘れてた。やっぱり颯太はずっとモテている。


「ごめん、無理」

「えぇ~」

「あはは、フラれちゃった~」


淡々と放たれた素っ気ない言葉にも、女子たちは楽しそうにキャッキャと笑っていた。


そんな愛想のカケラもない奴のどこがいいんだかは、さっぱりわからない。

……わからないと、そう思ってたはず……なのに。


少し距離が空いただけでこんなにも颯太のことを考えてしまっているのは重症だ。


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