恋かもしれない
「はあ、なんとか、間に合った」

なりふり構わずに走ったの、生まれて初めてかもしれない。

まだ脚が震えていて、こんな状態でよく走ることができたなって、自分でも感心する。

電車の椅子に落ち着くと、窓に映る自分の姿が目に入って、乱れた髪を手ぐしで整えた。

メイクは、目を瞑っておくしかない。

松崎さん、どうして急に出発を早めたの?

伝えたいことがあるのに。まだ行っちゃダメなのに。

こんなときは電車が妙に遅く感じて、駅に停まるたびに早くドアが閉まって出発するように念を飛ばした。

乗り換え駅で空港行きの電車に乗って間もなく、終点の空港駅に着く。

平日の夜遅い空港はあまり人がいなくて、すごく静かだ。
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