恋かもしれない
「お先に失礼しまーす」
「はーい、お疲れ様ー」
美也子さんに声をかけて家路を急ぐ。
ひゅうーと吹く風が冷たくて、マフラーを巻き直して身を縮めた。
駅前の街路樹にはイルミネーションが飾られて、なんとも心躍る空間に変わっている。
そうだ、クリスマスには、ジェルキャンドルに火を灯して、松崎さんと一緒に楽しもう。
きっと素敵な夜になるから。
スーパーに寄るとすでにクリスマスチキンが総菜コーナーに売られていて、思わず笑みが漏れた。
天井から下がっている広告もクリスマス模様だ。
松崎さんと会えるのはもうすぐだって実感がわいてきて、心が弾んで来た。
「あれ? 誰かな」
夕食の材料を買ってアパートまで来ると、自分の部屋の前に人が立っているのが見える。
そのシルエットは背が高くて……。
あれは、まさか。でもそんな筈はない。
だって、そんなこと一言も言ってなかったのに。