恋かもしれない
こんな高い位置に置くなんて、スウェーデン語の需要が低いのだろうか。

心なしか、本が古びている気もする。

「んー、もう少し、なんだけどな」

「綾瀬さん。危ないですから、下りてください。俺が取りますから」

「……は?」

斜め下から男性の声がした。

それに、今、私の名前を呼びました? 

それが、なんとなく、聞きおぼえがあるような?

こくんと唾を飲み、ゆっくりと視線を向ければ、すぐそば、肩くらいの位置に頭があった。

「ひっ」

無意識に一歩後退りをすれば、そこには床がなく──。

咄嗟に本棚に手を伸ばすけれど、どこも掴めず、どんどん視界が横転していく。

「や――っ」

やば、落ちる!!

ぎゅっと目と口を閉じて体を堅くして、来るべく衝撃に備えた。

「ぉ――っと!」

ぽすんと、何かが背中に当たり、同時に安堵するような吐息が聞こえた。

「危なかったな。大丈夫ですか? 足を捻ってませんか」

「ひぇっ!」

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