幸せの華
「おそらく麗華の覚醒時に痣が浮かび上がることだと思います」


そんな優の言葉に息を呑む麗華。
まさか自分が姫に選ばれるとは思ってもいなかったようだ。
姫になるには生まれてすぐ女王に首を噛まれていなくてはならない。


「嘘…よね…?
ねぇ…嘘ってゆってよ!!」


麗華は自室へと逃げるように蓮華の部屋を後にした。
そんな麗華を皆は見てる事しかできなかった。
誰も呼び止める事はできなかった。


「ごめん、優、ありがとう。」
「別に楓が言いずらそうだったから…」


楓と優の顔色が曇っている。
それもそのはず姫に選ばれる事がどれだけのものなのか。
姫、いわゆる護られる者。そして、地位争いに参加しなくてはならない。


「れーちゃん…泣きそうな顔してたね」
「しゃーないやん、選ばれてしまったもんは」
「陽斗はあの顔見ても何も思わなかったの!?」
「何とも思ってへん、なんて言えるわけないやん!」
「満も陽斗もやめろ。俺らが揉めても仕方ない」


満と陽斗の言い合いを止める涼一。
普段あまり表情に出さない涼一でさえ苦しそうな顔をしていた。
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