学校一クールなキミのお世話係になりました
「でも北原君、誕生日のお祝いしてって言ってたのに」


そうだ、今朝彼は2人きりでお祝いしてほしいみたいにせがんでいたはずなのに。


「ああ、それもういいから気にすんなよ、じゃ、な」


彼は少し屈んで、私の顔を覗きこむと、包帯を巻いている右手で軽く頭を撫でてくる。


「送ってやれないけど、気をつけて帰れよ」


彼の整った甘やかな顔が近づいて、顔が熱くなった。


う、なんか顔が近いかも、北原くん。


でも本当はこの後、彼の病院に付き添って怪我の回復具合を詳しくお医者さんに聞きたい。


そうだ、やっぱり一緒に帰ろうって言おう、今ならまだ。


「月島さん」


後ろから聞き覚えのある声に名前を呼ばれてハッとして振り返った。


「一ノ瀬君・・・」


見れば一ノ瀬君が隣のクラスの廊下側からこちらへ歩いてきていた。
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