学校一クールなキミのお世話係になりました
なんだか私に家に来て欲しくなさそう。


一瞬そんな風に感じて、彼をじーっと見上げた。


だけど、彼は私からの視線を避けるように、少し俯いてしまう。


「親父が早く帰れるようになったからさ、これからはアンコに来てもらわなくても大丈夫だから」


ボソボソと、低い声で話す彼。


心なしか表情も暗く沈んで見えた。


「そうなんだ。良かったね。お父さん早く帰ってきてくれるんだね?」


彼を覗きこむようにジッと見つめると、彼は困ったように横をむいてしまった。


なんだか、その表情がぎこちなく感じるのは気のせいなのかな。


もしかしたら、嘘をついているのかもしれないって一瞬思ったけど、すぐにその考えを打ち消した。


彼が嘘をつく理由なんて、どこにもないだろうし。

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