学校一クールなキミのお世話係になりました
上目遣いにそっと彼を見上げると、真っすぐに私のことを見ていて恥ずかしかった。


ネクタイを締めるためにかなり至近距離まで、体を寄せあうので、教室ではいつも恥ずかしい思いをする。


そうかと言って廊下の端でこそこそと二人きりになるのももっと恥ずかしいのだけれど。


「アンコ、戻ってくるの遅いぞ」


彼は私の瞳をじっと見つめながら呟く。


「ごめん、だって先生に用事を言いつけられてて。私を待ってないで誰かにやってもらったらよかったのに」


「嫌だね、女に触られたくなんてないし」


さらりと、ひどいことを言う。


「は?」


あのう、私も一応女の子なんですが。


私が何か言いたげに恨めしそうに彼を睨むとクスッと鼻で笑われた。


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