学校一クールなキミのお世話係になりました
いやいや、勘違いされてる。私はどっちかというと彼に虐められてこき使われているだけなのだから。


だけど彼女たちにはそうは見えないらしい。


「アンコ、早くやって。時間ないんだからな」


お願いするような態度では全然ない偉そうな口調で彼が私へ近づく。


先ほどの女子達はムッとしながら自分たちの席に戻っていった。


私へひと睨みしてから、安藤さんはフンと鼻を鳴らした。


その目はまるで私を見下すような雰囲気があり、ヒヤッとした。


出来れば、北原くんのファンの女子達と無用な争いはしたくない。


だって、私は彼の恋人ってわけではないんだから。睨まれ損だよまったく。


「アンコ、早く早く」


「え、うん」


仕方なくいつものように彼のカッターシャツのボタンを留めてあげる。

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