学校一クールなキミのお世話係になりました
「なにそれ?」


「アンコには理解不能なことだよ。男の意地みたいなものだから」


なんだかわけのわからないことを言われて勝手にあほ使いされているのでムッとする。


私のほうは見ないように前だけ向きながら、彼はちょっと顔をしかめる。


「気に入らないやつがいて負かしてやりたかったけど相手のほうが上手くて返り討ちにあっただけ。カッコ悪いよな」


「へ?」


思わずびっくりして間抜けな声が出た。


完壁な北原君でも、誰かに負けちゃうこともあるんだ。ていうか気に入らないやつなんているんだ。


いつもクールそうに見えるから、人に対してはそこまで興味も関心もない人なのかと思っていたけど、これはちょっと意外だった。


そういう人間らしいところもあるんだね。

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