つかまえた!
ピンポン。

「夜分遅くにすみません。
先程お邪魔した………」

挨拶の途中だったにも拘らず、ドアを開けてくれた。

絶対に開けて貰えないと思っていたから

拍子抜けだった。

「…………………………ありがとうございます。
お邪魔します。」

玄関に入ると、中に促された。

相変わらず下着姿のお母さんに、目のやり場に困る。

リビングらしき部屋は、汚部屋と呼ぶのが一番しっくりくる。

「座って。」

テーブルの上に散乱している食べた残りは

カップ麺等、栄養を全く無視した物ばかりだ。

こんな食生活で育ったから……料理が苦手なんだ。

みぃの環境に驚いていると

「…………………………で?
私に何の用?
まさかホントに寝に来たの?」と嫌な笑いを浮かべる。

これがみぃの母親でなければ

2度と会いたくない女だ。

「先程のお話しをお聞きしたくて。
海晴さんの行動とお母さんのお話しに、かなりのズレを感じるので。」

「はぁ?
あの女、まさかバージンだって言ってるの?!
私の付き合っていた彼氏に
子供の分際で色目を使っておきながら。
しかも、私にコソコソ隠れて寝ておきながら。」

「それって…………
海晴さんが小学1年生の時のことですか?」

「当たり前じゃない。
なんだ、話してるんだ。
さすがに良心の呵責ってヤツ?」

「でもそれは…………
相手の男が、お風呂に入れていて……………
確かお母さんも、海晴さんに謝って別れたと……………。」

「私もすっかり騙されたのよ。
子供の言うことだからね。
男が悪いと思って別れたのに
お風呂で誘惑してたのは、自分の娘の方だったんだから。
高校に入って、携帯を持たせてたんだけど
よりを戻した彼の携帯に、娘からの着信があったのよ。
それで彼に聞いたら、娘から連絡が入るって言ってたの。
『会いたい』って。」

えっ?!

会いたいって……………みぃから??
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