眼鏡フェチな私
「は?」

主任の目がまん丸に見開かれた。
口に運ぼうとしたグラスの手は止まっている。

「あー、あのですね。私、眼鏡フェチ、で。
昔っから好きになる人、全員眼鏡なんですよ。
もう、眼鏡から恋が始まるっていうか」

「ふーん、そうなんだ」

「おかしいでしょ、こいつ」

おかしそうに笑う秋吉と一緒に、主任も笑っている。

「ほんとに眼鏡掛けてないとダメなんだ?」

「ええ、……まあ」

すぅーっと細くなった主任の目に見つめられて、一気に酔いが醒めた。

……まるで、私の心の奥底を探っているような。

「ふーん」

興味なさそうにもう一度そう言うと、主任はグラスに残っていたビールを飲み干した。
手近にあった、まだ入っている瓶を掴んで主任の空になったグラスに注ぐ。
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