眼鏡フェチな私
「そういえば、主任。
来週末から放生会(ほうじょうや)はじまるの、知ってます?」

「なになに?
ほうじょうや、って」

「それはですねー」

暢気に話題を変えてきた秋吉に、心の中で感謝した。

……さっきのあれ、は。一体なんだったんだろう?



歓迎会が終わって翌週末。
主任に頼まれた資料作りが難航し、残業していた。
ちなみに私は主任の補佐なので、これは仕方のないことだ。

時間の遅い部署内には、主任と私のふたりしかいない。

「悪いね、遅くまで」

「いえ」

主任は資料作りを手伝ってくれている。

……手伝う、って言い方も変かもしれないが。
だって、自分が使う資料だし。

けれど、自分の仕事が終わると、ちゃんとやってくれるのが嬉しい。
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