眼鏡フェチな私
前についていた奴は資料作りやなんかを私に押しつけて、自分はさっさと帰っていたし。

……まあ、そういう奴だったから左遷されたけどね。

「お詫び……でもないけど。
明日、放生会行かない?」

「は?」

「あ、ほら。
この間の歓迎会のとき、秋吉が言ってただろ?
福岡では有名な祭りだって。
ちょっと行ってみたいけど、ひとりじゃなんだし、まだ地理とかよくわかんないし。
よかったら案内してくれないか?」

「えっ」

……まただ。
また、あの、目。

まるで、心の中を探られているみたいで、居心地が悪い。

「それとも、こんなことをいうとセクハラでパワハラ?」

冗談だよ、とでもいうように主任が笑った。
何故か詰めていた息をそっと吐き出す。

「別に予定もないですし。私なんかでいいのなら」

「うん。頼むよ」
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