恋と眼鏡
……私は祐典さまに叩かれたんだ。

「しっかりなさい!
確かに、あなたと一緒にここで焼け死ぬのもひとつの幸せかもしれません。
でも、私は生きて、加代を幸せにしたい」

私を射る、祐典さまの強い瞳。

ああ、そうか。
祐典さまはずっと、私を……。

「いきますよ」

「はい!」

祐典さまに抱き抱えられ、燃えさかる建物内を逃げていく。

――パリン!

「……いっ」

「祐典さま!」

祐典さまの眼鏡が割れていた。
割れたレンズで切れたのか、頬を血が伝っていく。
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