俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~
後頭部に感じた痛みに虚を突かれぽかんとしながら足元を見ると、来客用のスリッパだった。
「ちょっと落ち着け、この石頭!」
もう片方のスリッパを手に持ってこちらを睨むのは、鈴花の恋人の男だった。
「とりあえず姉ちゃんを放せ。そんな力任せに腕を掴んだら、痛いだろうが!」
そう怒鳴られ、瞬きをする。
「……姉ちゃん?」
言われた言葉を反芻しながら視線を目の前にいる鈴花に戻すと、彼女は目を潤ませたままこくこくと首を縦に振った。
「だから、隼人は恋人なんかじゃなく、弟です」
「だが、姉弟というには少しも似ていない……」
色素が薄く儚げな彼女と、黒髪で快活な印象の彼。
どうみても血がつながっているとは思えない。
「ほんと頭が固いな! ほら、ちゃんと見ろよ」
険しい顔で近づいてきた男が、学生証を取り出しこちらに見せる。
そこには顔写真と一緒に、『日野隼人』と名前が書かれていた。