アンドロイドに眼鏡は必要か?
後悔したってもう遅い。

ハーキースのやっている研究はカスミが知っているどの研究とも違い、興味を引いた。

邪魔をしてはいけないとわかっていても、ついつい気になって聞いてしまう。

そのたびにハーキースに呆れられ、今度こそ追い出されるんじゃないかと怯えた。

しかし、ハーキースは次から気を付けるように言うばかりで、一向にカスミを追い出そうとはしない。

それでも、注意されるたびに約束を破った罪悪感はあったし、今回こそという恐怖もある。

おどおどと窺うカスミにハーキースは、はぁーっと再び大きなため息を落とし、苦笑いした。

「これは人工筋肉の研究ですよ」

「……怒ってないの?」

毎回、カスミを注意してすぐに自分の研究に戻るのに、今日は珍しく答えてくれた。

それが不思議でつい、首を傾げてしまう。
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