アンドロイドに眼鏡は必要か?
……入っちゃいけないってわかっている。
でも、ちらっと見るだけだったら。

いけないことだとわかっていながら興味が勝った。
足音を忍ばせ、そっと覗いたカスミが見たものは……培養槽の中で眠る、人間。

「なに、これ……」

ごとん、床に落ちた薬品が重い音を立てたがかまっている余裕はない。

「これ、なに?
どういう、こと?」

培養液の中でゆらゆらと揺れる髪はハーキースと同じ色だった。
髪だけじゃない。
背格好も、その顔立ちすら。

「ハーキース……じゃない。
ヴァレット博士?」

ピッ、ピッ、心拍を示す規則正しい電子音が、静かに部屋の中に響く。

親子にしても似すぎている。
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