アンドロイドに眼鏡は必要か?
――だん!

再びハーキースに叩かれた培養槽はピシピシとさらにヒビを広げていく。

……ハーキースはアンドロイドなんかなじゃい。
立派な、人間だ。

それも、ヴァレット博士じゃなく、ハーキースというひとりの人間。

苦悩するハーキースがたまらなく愛おしく、思わずぎゅっとカスミは抱きしめていた。

「私もハーキースと一緒にいたい。
ヴァレット博士じゃなくて」

ヒビの入った培養槽は耐えきれずにピシピシとヒビを広げ続け、ついに培養液を吹き出した。
ヴァレットの心拍の異常を関知し、ビービーとけたたましくアラートが鳴り響く。

「ハーキースはハーキースだよ。
ヴァレット博士じゃない」

「カスミ……」
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