それでも君を
このまま静かにしていたらまた眠るかもしれない。



そんな淡い期待を抱いて少し静止してみたが、当然真ちゃんの方が私よりも上手であった。



「…ん〜?脈速い?」



運悪く掴まれていた箇所が手首であったためか、身体の不調に気付かれてしまう。



徐々に覚醒してきているのか、さらに鋭い指摘が続く。



「熱でもあるんじゃ…んん〜?熱いなぁ…」



眠りながら診察してる?



私の腕を触り直し、発熱まで確認したようだ。



自分で報告する前に見抜かれてしまい、なんだか気まずい空気が流れる。



耐えられなくなってきて、掴まれていた手から逃げるように、そろそろーっと腕を引っ込めようと試みた。



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