それでも君を
Side Story*
金曜の夕方。外来の診察室で、時計の針が予定の時間を15分過ぎたのを確認した。



いつもなら仕事終わりに「……きたよ」と憂鬱そうにドアを開ける梨央が、来ない。



遅れる時は連絡をしてくるはずなのに、今日はそれすら来ていない。



電子カルテの画面から目を離し、背もたれに体を預ける。



胸の中に嫌な予感が広がるのとほぼ同時に、スマホのバイブレーションが短く震えた。



画面には「水沢」の文字。


< 740 / 746 >

この作品をシェア

pagetop