それでも君を
「わかってる。今日、梨央が来たら点滴はやめようと伝えようと思ってた。事前に準備した内服プランに切り替える」



『……いいんですか? 病勢を抑えるには、あの点滴が一番ですよね…?』



「データの上ではな。けど、患者の心が折れたら治療は終わりだ。あいつは5ヶ月間、死ぬ気で耐えてくれた。そのおかげで病勢は確実に叩けてる。今なら一度点滴を切っても、内服でコントロールできる余地がある。……何より、あいつをこれ以上追い詰めたくない」



『……ありがとうございます』



電話を切り、診察室を出ると、廊下の先から水沢が歩いてくるのが見えた。



取り乱すことなく、けれどまっすぐな瞳で俺を見る。



「梨央が行きそうな場所……心当たりはあるか?」



「いくつか。でもおそらくあそこです」

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