それでも君を
その声に肩をビクッと跳ねさせ、怒られると思って身をすくめる梨央。



水沢は静かな足取りで近づくと、隣に腰掛け、その震える手を温かく包み込んだ。



『ごめんなさい』と消え入るような声で謝る梨央に、水沢は怒るどころか、どこまでも優しい目を向けた。



『怒るわけないよ……ずっと、辛かったでしょ』



その光景を少し後ろから見つめながら、俺は深く息を吐き出した。



よし、逃げ場を作ってやるか。



主治医として、そして梨央の兄貴分として、あいつの恐怖を丸ごと受け止めてやる覚悟を決める。



前に一歩踏み出し、怯える梨央の目を見つめた。

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