世界で一番、不器用な君へ


「いってえな…」


「なんか言った?蓮」


「…ナンデモアリマセン」


今まで散々姉に痛い目に遭わされてきた(いろんな意味で)元カレたちを知ってるから、絶対に逆らわない。俺自身のために。


「ふふっ…蓮がおびえてる〜」


「うるせえ」


ニヤニヤする一花に軽く蹴りをいれる。


「ちょっと蓮!女の子に蹴り入れるってどういうこと?」


「こんなやつ女じゃねえよ!」


「ちょっと!」


「こらこら、お祭りに間に合うのー?」


母さんの声でハッとした姉は、一花を引っ張って階段を上る。


「あ、ところでコンセプトは?」


「そうだな…」


化粧っ気のない一花の顔を見つめる。


「大人の女性で」


「オッケー、任せて」


さて、俺はアイスでも食うかな。

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