世界で一番、不器用な君へ
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「蓮!来たわよ!」
「んー今行く」
合宿前最後の土曜日。
花火大会の日。
この日だけは部活も午前中で切り上げられる。
つまり、部員たちにとっては貴重な夏休み。
「おじゃまします」
のはずだが、俺はかわいい彼女でもないこのゴリラ女、一花を家にあげている。
「お前、顔赤いけど。もう緊張してんの?」
「あっ当たり前でしょ!」
こんな日に他人の心配なんて、俺も結構なお人好しだ。
「ねーちゃん、きたぁ」
二階に向かって呼びかけると、バタバタと慌ただしい足音と共に半年ぶりに帰省した姉が俺を押し除けて一花の手を握った。
「あなたが一花ちゃん!?お母さんの言う通り美人だわー開発しがいがある!」
「あっあの、よろしくお願いします」