世界で一番、不器用な君へ


***

「一花」


なんとかそれぞれの係を決めることができ、委員会が無事終わった後。


「先輩」


大和先輩は、すぐに声をかけてくれた。


「ごめんな、さっき。助けられなくて」


「そんな…!先輩は委員長ですし、あそこで私を庇ったら余計大変なことになってましたよ」


それでも、私には分かった。


先輩は、静かに、だけどものすごく怒ってた。


それが、たまらなく嬉しい。


「先輩」


「ん?」


「怒ってくれてありがとうございました」


先輩は少しびっくりしたような顔をして、でもすぐにいつものように優しく笑った。


「当たり前だろ、大事な後輩なんだから」


大きな手のひらが、私の頭をそっと撫でる。


それだけで胸がギュってなって、にやけそうになる。

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