世界で一番、不器用な君へ
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「一花」
なんとかそれぞれの係を決めることができ、委員会が無事終わった後。
「先輩」
大和先輩は、すぐに声をかけてくれた。
「ごめんな、さっき。助けられなくて」
「そんな…!先輩は委員長ですし、あそこで私を庇ったら余計大変なことになってましたよ」
それでも、私には分かった。
先輩は、静かに、だけどものすごく怒ってた。
それが、たまらなく嬉しい。
「先輩」
「ん?」
「怒ってくれてありがとうございました」
先輩は少しびっくりしたような顔をして、でもすぐにいつものように優しく笑った。
「当たり前だろ、大事な後輩なんだから」
大きな手のひらが、私の頭をそっと撫でる。
それだけで胸がギュってなって、にやけそうになる。