世界で一番、不器用な君へ


「それに、あんな風にキレる蓮を見たのも初めてだったから」


「…え?」


「見えなかったか?すごい顔してたぞ、あいつ」


いつも、ふざけた調子で私をからかう。


でも、さっきは堂々と、守ってくれた。


…本気で、怒ってくれたの?


教室のなかをぐるっと見渡す。


アイツの姿は、もうなくて。


「っ…先輩、私行きます!ありがとうございました!」


そう言って、私は急いで教室を出た。
< 70 / 190 >

この作品をシェア

pagetop