クールな彼とちょっとドジな彼女の恋の攻防戦(後日談移動しました)
一度、私を見た絵梨花の笑顔に、冷や汗を感じる。
「莉子は、俺のことなんて言ってた?」
「好かれても困るって話とか、無理矢理連絡先交換させられてちょくちょくメールがきて困るって話とか、後…あっ、そうそう、コンパの後待ち伏せられて買い物までついて来たって話だったよね」
ねーって、渡部さんと絵梨花はお互い頭を傾げて、したり顔をしている。
朝陽は朝陽で、私の肩に腕を乗せて肩を組んでくる。
「なんだよ。全部知ってるのかよ…恥ずかしいだろ」
朝陽の照れてる素振りが嘘くさくて、この茶番はなんのつもりかと3人を順番に見回した。
「まぁ、そんな莉子に諦めずにオッケーもらうまで頑張った向井さんってけな気よね」
「莉子ちゃんが、朝陽のしつこさに根負けしたんだって…」
「もう、どっちでもいいだろ…俺らの問題なんだから、部外者がとやかく言うな」
結局、この数分の茶番は、私を守る為に渡部さんと仕組んだ事で、最終的に最後の言葉を言いたかったのだろう。
彼の肩に頭を寄せた私は、小さな声で『ありがとう』と…
耳元にチュッと朝陽がキスをした姿を、食堂にいた全ての人に見られていて、その人達によって話に尾ひれがついて広まっている事を後で知ることになる。