クールな彼とちょっとドジな彼女の恋の攻防戦(後日談移動しました)
「まぁね」
「じゃあ、俺たちは帰る」
「うん、ここは俺の奢りだから気にしないで」
「当たり前だ。迷惑料にもならん」
朝陽と梶岡さんの掛け合いの横で砂羽さんが私を見つめた。
「私、小野寺さんにちゃんと話す事に決めたわ。応援してくれる?」
「あっ、はい。頑張ってください。小野寺さんが砂羽さんに何かしてきても、私も、絵梨花もいます。負けないでください」
「ありがとう…私も莉子ちゃんのように強くなるわ」
初めて、莉子ちゃんと呼んでもらえた事に照れてると、
「砂羽には、俺もいる事、忘れてない?」
「ゆうくん、ごめん。忘れてた」
ガクンと項垂れる梶岡さんに、みんなで笑った。
そして、朝陽とゆったりと歩く帰り道、会話もないけど手を繋いでいる、その温もりに幸せを感じる。
うふふ…
「なに、笑ってるんだ?」
「朝陽が彼氏で幸せだなぁって…これからもっと幸せで楽しい時間を一緒に過ごして行こうね」
一瞬、間のあった朝陽は、前を通るタクシーを止め、行き先を告げて私の耳元で艶かし声で囁いた。
『無自覚な可愛さっで煽った責任をとってくれよ。朝まで付き合ってもらうからな』
朝陽の欲情スイッチを無意識に押してしまった自分のドジさを、朝になって後悔するのだった。
そして小野寺さんが、会社に居ずわりにくくなり、退社した事を絵梨花から聞いたのは、一か月ほどしてからだった。
〈END〉
一年後 恋の攻防戦は、続編として移動します。


