クールな彼とちょっとドジな彼女の恋の攻防戦(後日談移動しました)
最悪だ…
いくらドジな私でも、人生初の失態に、このまま消えてしまいたい。
恥ずかしさに赤らむ顔のまま、一階に着くまでの数秒がとても長く感じる。
「…あのー」
「あのさ」
ほとんど同時に2人の声が狭い室内に響いた。
お先にどうぞと、促す私に彼は不快顔で
「新手の痴女⁇」
はぁっ?
失礼な言葉に思考が止まったと同時に、エレベーターのドアが開き、彼は私と距離を取って逃げるように出て行くので、腹立たしさに、そんなわけあるか…と、彼を追いかけてエレベーターを出た私は叫んだ。
「パンツを出していたのは、事故ですから…痴女じゃありませんから」
数メートル先で、立ち止まりお腹を抱えて肩を揺らす彼の背。
しばらくして、大きな笑い声がロビーに響く。
「あははは、あはは、あはは…あーく、苦しい。はっ、はは……わ、わかったから、勘弁してくれ…あっはっはは」
彼に追いつくが、目に涙を溜めた彼は笑いをこらえるのに必死になっていて、私は、そんな彼を苦々しく見つめた。
そして、少しして落ち着いた彼は、笑いを我慢した顔で、
「君、どんだけのうっかり者なの?スカートが捲れてる事にも気がつかないし、恥ずかしくて言いにくい事を叫ぶしさ…まぁ、聞いていたのは俺だけだし、公衆の面前じゃなくてよかったね」