残り香
毎回そのあと、笑って私のあたまを撫でる柴崎さんに何度も救われてきた。

「告白、しようかな……」

なんとなく、告白すれば柴崎さんも受け入れてくれそうな気がした。
ミルクティを飲み終わり、壁から離れる。

「もうすぐ、バレンタインだし」

ゴミ箱に缶を捨てると、私の気持ちを後押しするかのように、カコンと気持ちのいい音がした。


バレンタインに告白する、そう決めた私はその日をどきどきしながら待った。

百貨店のバレンタイン戦争に参戦し、揉みくちゃにされながらも自分の思う最高のチョコレートを勝ち取る。
いろいろ悩んで勝負下着だって準備した。

振られたときを考えると盛大に落ち込みそうだったがそれでも、「俺も好きだよ」って言ってくれる柴崎さんを想像して、わくわくが止まらない。

けれど――そんな日は永遠に来なかった。
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