残り香
「おまえから目が離せなかったからに決まってるだろ。
あぶなっかしーからな、おまえは」

「……ひどい」

くいっと柴崎さんがブリッジを人差し指であげるのがなんか得意げに見える。
それが少しおかしくなってふふっと小さく笑いが漏れた。

「でも事実だろ。
あんなに無茶して仕事しやがって」

「……ごめんなさい」

死んでまで心配をかけていたのは大変申し訳ない。

「死んで、あの世には逝ったんだ。
でも転生するのには時間がかかるらしい。
ほら、いま少子化で子供が少ないだろ」

「はい」

まさか、現世の事情があの世に影響しているなんて思わなかった。
柴崎さんも意外だったらしく、おかしそうにくすくすと笑っている。
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