残り香
「生者に干渉して死亡予定を変えるのは厳罰なんだ。
魂を消される」

「なら、なんで!」

そんなに重い罪なら私の魂などさっさと回収すればよかったのだ。
生きろなどと説得などせずに。

こんな状況になっても柴崎さんは笑っている。
うっとりと柴崎さんの両手が、私の頬にふれた。

「それでも野乃花に生きていて欲しかった」

初めて、柴崎さんの唇が私の唇にふれた。
抱きしめると腕は虚しく宙を切る。

「野乃花、愛してる」

「柴崎さん!」

私の耳にかろうじて届いた柴崎さんの声を最後に、光の粒は全部消えてしまった。

「柴崎さん!
柴崎さん!」
< 23 / 25 >

この作品をシェア

pagetop