昨日、彼を振りました。
「可愛げ三十パーセントオフ?
……いてっ」

「失礼ですよ、それ」

思わず、フォークを口に運ぼうとしていた荒木さんの足を、テーブルの下で蹴飛ばした。
言われたこともムカつくし、なんか意地悪そうなあの顔もムカつくし。

「でもなんか、違うぞ。
昼間のおまえはいままでと違ってこう、泣くまで苛めてみたくなるっていうか、なんかそんな感じだったのに、いまはいつも通りあたまをがしがし撫で回したい感じ」

「わけわかんないですよ」

新たに注いだワインを飲んで笑う。

……確かに。
そうかもしれない。
眼鏡の荒木さんに迫られると思考が麻痺する。

「まあ、三峰ってだけで可愛いんだけどな」

グラスに残っていたワインをぐいっと一気に飲み干した荒木さんの顔は、酔っているのか照れているのか、赤かった。
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