嘘つきは眼鏡のはじまり
ざざっと見渡した限り、星名さんの姿はないようでほっと胸をなで下ろす。

……来るまで待っているって言ったくせに。
嘘つき。

待たれるなんて迷惑、そう思っていたはずなのに傷ついている自分が理解できない。

「来てくれたんだ」

再び駅の方に踵を返しかけて足を止める。
おそるおそる振り返ると、泣きそうにレンズの奥の瞳を歪ませた星名さん。
その姿にかっとあたまに血が上る。

「なんで!
その姿!
なのよ!」

「あー、ちゃんと話、聞いて欲しくて。
たぶんこれが、いまの俺の自然な姿だから」

困ったようにぽりぽりと眼鏡姿の星名さんは頬を掻いている。

「意味わかんないっ」
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