嘘つきは眼鏡のはじまり
「……憧れ、だったんだ。
柊人みたいな男。
浮ついてる俺と違って、落ち着いてて知的な感じ。
それで、SNSの中でだけ、演じてみてた」

「じゃあ、私と会うのなんて断れば」

「そうだよな」

自嘲するかのように星名さんの口元がわずかに歪む。

「興味があったんだ、木の花って人間に。
だからどうしても会ってみたくなった」

「来たのが私で、さぞかしがっかりしたでしょう?」

カップを手に、ぬるくなったミルクティを飲む。

一口、二口。

「驚きはしたけど、がっかりはしなかった。
むしろ、自分の正体がバレるのが嫌で、双子の兄を演じることにした。
そもそもSNSの柊モードで来てたから、不都合なかったし」

「そう、ですか」

さらにミルクティを飲む。
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