夢物語
 「志穂!?」


 「参加受付はあちらですが、まずは上靴を……」


 中二階から降りてきた優が私を呼ぶのと、高橋冴香の声が重なった。


 それらとほぼ同時に。


 私は衝動を抑えられず、はめていた指輪を抜き取って、高橋冴香の顔目がけて投げつけた。


 その瞬間周囲の全てが、スローモーションな無声映画と化したような錯覚に襲われた。
< 250 / 302 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop