夢物語
「じゃ、これで終わり」
テキストを閉じた。
優くんの公立高校入試を控え、最後の授業を終える日が来た。
家庭教師をするようになってから二年ちょっと、今になって思えば長いようであっという間の日々。
あとは優くんの本番での頑張りを信じるのみ……。
「真由先生」
席を立とうとする私に、筆記用具を片付けながら優くんが呼びかけた。
「合格祝いなんだけど」
「あ、何か決まった?」
受験本番が間近に迫る頃、優くんに合格祝いのプレゼントは何がほしいか尋ねたことがあった。
こちらから一方的に決めても、あまりほしいものでなかったりなどありがた迷惑になっても困るので、あらかじめリクエストをしておいたのだ。
最新ゲーム機など、あまりに高額なものも避けたいところだけど、私もこの春から新社会人なこともあり、少々高いものでも奮発しようと考えていた。
「うん。FC北海道のホームゲーム初戦の、観戦チケット」
「FC北海道?」
ついにこの春、北海道にもJリーグクラブが誕生する運びとなった。
その記念すべき初のホームゲームチケットを、優くんは合格祝いとしてプレゼントしてほしいと言う。
「チケットでいいの?」
確か一番いい席でも、数千円程度のはず。
何か記念品を想定していたので、予想外の回答に驚いていた。
「ペアチケットと、そして初のホームゲームは室蘭市で開催されるから、そこまで真由先生の送迎付きでお願いしたいな」
「えっ、私が送迎?」
「うん。室蘭まで公共交通で行くのも大変だから、真由先生の運転で一緒に行って観戦したい」
テキストを閉じた。
優くんの公立高校入試を控え、最後の授業を終える日が来た。
家庭教師をするようになってから二年ちょっと、今になって思えば長いようであっという間の日々。
あとは優くんの本番での頑張りを信じるのみ……。
「真由先生」
席を立とうとする私に、筆記用具を片付けながら優くんが呼びかけた。
「合格祝いなんだけど」
「あ、何か決まった?」
受験本番が間近に迫る頃、優くんに合格祝いのプレゼントは何がほしいか尋ねたことがあった。
こちらから一方的に決めても、あまりほしいものでなかったりなどありがた迷惑になっても困るので、あらかじめリクエストをしておいたのだ。
最新ゲーム機など、あまりに高額なものも避けたいところだけど、私もこの春から新社会人なこともあり、少々高いものでも奮発しようと考えていた。
「うん。FC北海道のホームゲーム初戦の、観戦チケット」
「FC北海道?」
ついにこの春、北海道にもJリーグクラブが誕生する運びとなった。
その記念すべき初のホームゲームチケットを、優くんは合格祝いとしてプレゼントしてほしいと言う。
「チケットでいいの?」
確か一番いい席でも、数千円程度のはず。
何か記念品を想定していたので、予想外の回答に驚いていた。
「ペアチケットと、そして初のホームゲームは室蘭市で開催されるから、そこまで真由先生の送迎付きでお願いしたいな」
「えっ、私が送迎?」
「うん。室蘭まで公共交通で行くのも大変だから、真由先生の運転で一緒に行って観戦したい」