夢物語
大学を卒業し、父親の会社に次期社長として入社した優くんは、就職して五年ほどして突然、結婚を報告してきたようだ。
私のみならず西本さんも安堵したのはこの上ないものの、優くんは籍を入れるだけで結婚式を挙げないと報告してきた。
相手の人の気持ちもあるし、式を挙げた方がいいのでは……と西本さんはかなり説得したにも関わらず、優くんは決して首を縦には振らなかった。
(親族席に……、私が座るのが嫌なんだ)
式を挙げるとなれば、実の父の西本さんの横に私が座らなければならない。
あえて私を外すのは、世間体もあるし……そういうわけにもいかないだろう。
そんな面倒な配慮などを避けるため、優くんは結婚式をあきらめたのだと推察された。
ある日結婚相手の子を連れて、西本さんに挨拶に現れた。
未だに業務上必要な交流以外は父親との接点すら避けているけれど、結婚の報告だけはさすがに直接行なうことにしたようだ。
私が仕事で不在な日を選んで現れたようだけど、幸か不幸かその日私は代休で在宅。
鉢合わせてしまったため、相手の子を見ることができた。
優くんの大学の同級生とは聞いていたけれど、可愛らしい……。
まず亡きお母さんの仏壇の前で、結婚を報告。
それからリビングに移動して話をしようとしたところ、急な電話で西本さんが席を立ったため、私はお茶の準備のためキッチンへ移動。
紅茶を用意し、二人の待つリビングに戻る時のことだった。
「優、あの女の人誰なの? お義父さん再婚していたの? ずいぶん若い方ね。どうして事前に話してくれなかったの?」
相手の女の子が優くんに尋ねる声が聞こえてきた。
優くんは私の存在すら、将来の奥さんに話していなかったんだ……。
「俺の母さんは、十五年前に死んだ人一人だ」
「産みのお母さんは亡くなったかもしれないけど……、お義父さんが再婚なさったのなら、あの人は血の繋がはなくても、」
「この家に母親はもういない。あの人はこの家の家政婦にすぎない」
「家政婦!? それはあんまりじゃ」
「俺の母さんは死んだんだ!」
「優……」
優くんの取り付く島のない態度に、婚約者もそれ以上の追及はあきらめたようだ。
それにしても家政婦とは……。
かたくなに私を認めようとしない優くんの怒りを、改めて感じ取っただけだった。
私のみならず西本さんも安堵したのはこの上ないものの、優くんは籍を入れるだけで結婚式を挙げないと報告してきた。
相手の人の気持ちもあるし、式を挙げた方がいいのでは……と西本さんはかなり説得したにも関わらず、優くんは決して首を縦には振らなかった。
(親族席に……、私が座るのが嫌なんだ)
式を挙げるとなれば、実の父の西本さんの横に私が座らなければならない。
あえて私を外すのは、世間体もあるし……そういうわけにもいかないだろう。
そんな面倒な配慮などを避けるため、優くんは結婚式をあきらめたのだと推察された。
ある日結婚相手の子を連れて、西本さんに挨拶に現れた。
未だに業務上必要な交流以外は父親との接点すら避けているけれど、結婚の報告だけはさすがに直接行なうことにしたようだ。
私が仕事で不在な日を選んで現れたようだけど、幸か不幸かその日私は代休で在宅。
鉢合わせてしまったため、相手の子を見ることができた。
優くんの大学の同級生とは聞いていたけれど、可愛らしい……。
まず亡きお母さんの仏壇の前で、結婚を報告。
それからリビングに移動して話をしようとしたところ、急な電話で西本さんが席を立ったため、私はお茶の準備のためキッチンへ移動。
紅茶を用意し、二人の待つリビングに戻る時のことだった。
「優、あの女の人誰なの? お義父さん再婚していたの? ずいぶん若い方ね。どうして事前に話してくれなかったの?」
相手の女の子が優くんに尋ねる声が聞こえてきた。
優くんは私の存在すら、将来の奥さんに話していなかったんだ……。
「俺の母さんは、十五年前に死んだ人一人だ」
「産みのお母さんは亡くなったかもしれないけど……、お義父さんが再婚なさったのなら、あの人は血の繋がはなくても、」
「この家に母親はもういない。あの人はこの家の家政婦にすぎない」
「家政婦!? それはあんまりじゃ」
「俺の母さんは死んだんだ!」
「優……」
優くんの取り付く島のない態度に、婚約者もそれ以上の追及はあきらめたようだ。
それにしても家政婦とは……。
かたくなに私を認めようとしない優くんの怒りを、改めて感じ取っただけだった。