夢物語
 ……その男のおかげで、私は進化した。


 以前から競技に関して指導を人より受けていたけれど、体の関係を持ってからは一層顕著になった。


 まるで敏腕プロデューサーを得た新人アイドルの如く、優先的な練習を受けられるようになり、試合にも率先して出してもらえるようになったため、技術も飛躍的に向上。


 初心者の域を卒業し、中・上級プレーヤーの仲間入りができたような気がして、私は浮かれていた。


 ……いつも一緒だった私たち。


 いつしか奥さんのことなど、全く意に介さなくなっていた。


 出産後のすれ違いをこじらせて、そのまま別居状態に突入しており、気持ちもすっかり離れてしまい、奥さんのほうも離婚を希望しているとか。


 できちゃった結婚からわずか一年ほどのスピード離婚となりそうだけど、無事に離婚が成立する日を私は心待ちにしていた。


 もしかしたら……自分が後釜になれそうな気がして。


 離婚後すぐに再婚となれば、世間体もあるし、さすがにサークルの人たちにも怪しまれるだろうとのことで、しばらくおとなしくしていてその後は……などと計画を立てていた。


 男の気持ちを完全に手に入れた今となっては、あとは無事に離婚が成立しさえすれば何もかも上手くいくと信じていた。
< 36 / 302 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop