夢物語
 「え……。なんで私がそんなこと言われなきゃならないの? 迷惑してるのは他でもない私たちなんだけど。ていうか、不倫している人たちに、どうして私たちが不倫してるってデマを流され、悪者扱いされなきゃならないわけ?」


 どうせ誰も私たちの関係に対して証拠を掴んでいないだろうという油断が、私のその台詞につながった。


 すると、この一言がきっかけで……、辺りの雰囲気が一変する。


 それまでは私たちが被害者だったはずが、私の一言は予想外の波紋を広げ……。


 いわゆる「善悪の逆転現象」が起きてしまったのかもしれない。


 本来ならば私たちが、デマを流された被害者だったはずなのに、その一言は一種の「過剰防衛」となってしまったようだ。


 誰もがTとSの不適切な関係には気付いていた。


 誰もが見て見ぬふりをするという「大人の対応」をしてきたのに、ここに来て私がそれを暴露するような発言をしてしまったため、まさにパンドラの箱を開けてしまったような状況に。


 「ひどい……冴香ちゃん。いくら自分がつらい思いをしているからって、仲間を巻き込むような発言は、よくないと思う!」


 Mはいきなり私を批判し始めた。


 その直後、Tと不倫している人妻Sまでもが泣き出した。
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