夢物語
 それからの日々、私はひたすら耐えた。


 周囲の冷たい視線にも負けず、彼のいない心細い日々にもくじけなかった。


 騒動から一年ちょっと経過した年度末に、架空の異動話を口実に、サークルに退部届を提出。


 その頃までにはすでに不倫騒動の衝撃はほぼ過去のものと化していたけれど、人間関係のこじれは長らく尾を引いていたので、私が辞めることに上層部は安堵していたと思う。


 騒動以降、私は扱いにくい存在となっていたこともあるし。


 その年の夏、「保険の契約欲しさで仲間を売った」Tと、「部長の姪」のMとの結婚式が予定されていたから……。
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