夢物語
 不倫問題は何とかかいくぐることができたものの、サークルでトラブルを起こした問題児というレッテルを貼られた私は、その後居心地の悪い状態を強いられた。


 代表者夫妻は気を遣ってくれたけど、腫れ物に触れるような扱い。


 年長者は和を乱した私を、冷たい目で見る。


 友達だと思っていた同世代の子たちは、部長の姪であるMに同調して私を避け始めた。


 そんな八方塞がりな状況下で、唯一の支えは彼しかいなかったのに……。


 その彼は、私を明らかに避け始めた。


 のみならずサークルからも、次第に足が遠のき始めている。


 孤立無援。


 私の孤独は明らかなものとなった。


 もはやここには誰も、私の味方など存在しない……。


 でもすぐにはサークルを辞めることはできなかった。


 今ここで辞めるのは、逃げたとみなされるのが明々白々。


 逃げた理由は間違いなく不倫騒動と判断され、不倫疑惑自体はせっかく無実を勝ち取っているのに。


 私が逃げ出せば「やっぱりやましいことがあるから逃げ出したんだろう」「不倫は事実だったのか」などと、本人のいない間にどんなこと噂されることか。


 いわゆる「欠席裁判」で有罪判決を食らうことを恐れ、我慢してサークルには通い続けた。
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